大切な季節感

<旬、季節感>
季節感は日本料理の重要な要素になっている。旬の食材は美味しく、また市場に豊富に出回り値段も安く栄養価も高くなる傾向にあるため、生命力にあふれる素材そのものの味を楽しむ好機と考えられている。七種粥のように、雑草特有の自然なあく強さや苦味も生命力を涵養する滋味として喜ばれてきた。また初鰹のような季節を先取りする「走り」、落ち鮎のような翌年まで食べられなくなる直前の「名残」など、旬よりは味が落ちるが素材の扱いを変えるなど、同じ食材でも走り、旬、名残と三度の季節感が楽しまれることもある。

<割主烹従>
日本料理は素材に手を余り加えず、選ばれた素材そのものの風味、よさを引き立たせる素朴な調理法が尊重される傾向が強く、「素材の持ち味以上においしくしない」ことを原則とし「日本人はおいしいものを探しその持ち味を味わうことを第一としており、おいしくないものに手を加えてまで食べたいとは思わなかった」とその調理の「消極性」が表現されることもある[2]。これは濃厚な調味料を使い「積極的」に調味したフランス料理や中華料理と比較すると明白であり、豆腐料理における冷奴や湯豆腐に対する麻婆豆腐といった例をあげることができる。また、中華料理に良く見られる揚げた後に煮込んで揚げ浸しにしたりあんかけにすることで泥臭い川魚や獣肉を食べやすくするといった食材に対する融通性や油を多用した食材加工技術は、日本料理ではうなぎの蒲焼や南蛮漬け、茄子の揚げびたしのようなもの以外はあまり顕著ではない。

彩りを出し、素材の持ち味を引き出すために、味付け前の下処理に手間をかける。日本料理の料理長を「板前」「花板」とまな板と関連付けて呼ぶ事から分かる通り、食材を切ること自体を煮炊きから独立した調理の一過程として非常に重視しており、切り方にも凝る傾向がある。これは、あらかじめ食べやすい大きさに切りそろえられた素材にナイフを使わず箸を使って食べるという食文化や、平安時代の包丁式に見られる文化的バックグラウンドや、加熱調理は誰でも出来るという考えから来たものである。『焼く』という意味が由来のフランス語で、台所や料理法を意味する『キュイジーヌ』(cuisine)とは対照的である。焼き物の場合、下処理の済んだ食材に塩を振り、炭火で焼き上げるものが多い。

また、食材の鮮度に応じても調理法が選択され、たとえば鮮魚は鮮度が下がっていくに従い、生(刺身)、焼き物(焼き魚)、煮物(煮付け)・揚げ物(天ぷら)といったように調理法が使い分けられてきた。煮物、蒸し物の場合、出汁を基本に味噌や醤油を用いて味付けが行われることが多い。香辛料の類はあまり使われない。香味野菜を刻んだりすりおろしたりした物を好んで使用する(薬味もしくはかやくと呼ばれる)。



『ウィキペディア』参照